ウオーキング、時々トレッドミル

気が付けば60歳!! 旅と写真が好き。8年前に思いついてダイエットとウオーキングで標準体重に。また体重が戻り始めたのでトレッドミルも使って健康維持頑張ります。

香港

沢木耕太郎の深夜特急第一巻 香港・マカオ を読み始めた。



香港には、通算5回ほど訪ねたことがある。
初めの二回は幼馴染達や就職先の友達との女子旅。パックツアーでホテルは4つ星クラス。旅行会社に勤めていた私たちは1泊だけ、The Peninsula ホテルに泊まってみたりもした。


三回目と四回目が世界一周旅行の始めと最後の地。


五回目が2018年、日本に帰る途中のストップオーバーだ。


深夜特急の香港の話を読み始めて、思わず、私の3回目の香港についた時の空気がよみがえった。
実はこれは多分友人にも話したことがなかったと思うのだが、(当時はインターネットもなく電話はとてつもなく高く、そんな出会いを話せる相手はいなかった)世界一周旅行は航空券の関係で香港発世界一周になったのだ。
東京から香港に向かう飛行機の隣に居合わせた香港青年との出会いがあった。
眼鏡をかけた彼は、日本人のフィアンセがいたのだが何かの理由でうまくいかなくて別れてこれから香港に帰るところとのこと。
何か家族でビジネスをやっているとのことで、お金持ちの雰囲気がプンプンしていた。だって、オーストラリアでBall party(正装したダンスパーティ)に行った話とかしていたから。


私は3つ星クラスのホテルを予約してあり、香港に滞在するなら案内してあげるよ。とのことで、香港人のフレンドリーなお誘いに思わず乗ってみることにした。
以前に香港の観光はしていたので、まぁ、香港の若者の集まるところを覗いてみたいという好奇心で待ち合わせたら、お迎えはベンツ!ちょっとクラッシックタイプの車内革張りで、そんな車に縁のなかった私はびっくり。
彼はあくまでも紳士で、地元の友達と一緒に食事とか、屋台街とかいろいろ連れて行ってくれた。そして彼の家にも連れて行ってくれた。
詳しいことは忘れてしまったが、一冊の本を見せてくれた。”日本軍は何をしたか”というような題名で、で中国での日本軍の悪行が写真入りで紹介されている本だった。
彼は私の表情をうかがうように、のぞき込み ”こういうことが、中国であったということ、中国人はみんな知っているんだよ。” というようなことを言ったと記憶している。
とても明るくてフレンドリーで、新日的な人だったけど、そんな本を見せてくれたこと、歴史の認識を、被害者の立場を忘れる、あるいは、そんなことは無かったかのように過ごしてはいけないと強く感じた出来事だった。


私の世界一周はその彼との香港4日間から始まったのだが、”深夜特急”の”私”も香港の魅力に引き込まれていく。光と影。そんな景色が確かに香港にはあった。
沢木耕太郎というよりは、五木寛之の”青年は荒野をめざす”型の私ではあったけど、彼はこの本を1986年に出版している。私が世界旅行に出たのが、1987年だったので、知らなかったのも当然なのだか、こうして2021年の今、読みながら私自身の旅を追体験するのも悪くないなと思った。


2年前に訪れた香港では、どういうわけか、私も招待所のようなところに泊った。有名な重慶マンションの隣のビルで、偶然、深夜特急の”私”が泊まったところに近い部屋の内容である。香港5回目にして、しかもいい年になって、こんなバックパッカーの泊まるところにいる自分に恐れ入ったが、面白かった。
The Peninsulaもすぐそばにあり、香港島はきらきら輝き、けれども、香港は1987年の香港ではなかった。中国に返還され、本土からの中国人向けの店が増え物価は随分上がった。


もうこの地に来ることは無いかな。と思った。
あの、メガネの彼は、今どうしているだろう。